奈良県が実施する高校再編に従い、奈良市の教育環境が大きく変動することになります。
今年の高校受験に関して、周りも困惑の声が大きい。
子ども3人いるとご近所さんとの教育の話題はつきない。
色々聞くのは高校受験の悩み。大学進学希望が多く、公立高校の進学校をと考えられているが、そこは特に混乱状態。
奈良市内の進学校と思える公立高校は5校のうち3校が廃校。1校が耐震問題で環境に不安。影響は大きい。
奈良市民は北部の公立高校を選ぶ。次に京阪エリアの私学。金銭的に厳しくなるが実績と通学時間から選ぶのは必然。南部の高校を選ぶ人はごく僅か。
奈良北部の県立高校の7割の生徒は北部の生徒という事実。
だから、今、問題が大きくなっています。
下図は、平成27年のものではあるが、奈良県の県立高校の卒業中学別の入学者数の内訳です。
この資料から、奈良県の県立高校は全県区制とは言え、近い地区の高校に進学してしていることがわかる。
県立高校再編計画は、様々な情報操作が成されて耳障りの良い、実態と合わない内容になっている。または隠されている。
当事者にならなければ、何が悪いのか分からない。特に北部への影響は大きい。
中南部への影響はあまりなく、そのままに執行されても問題はないと思う。
奈良市内にある県立高校は、奈良、平城、登美ケ丘、西の京、奈良朱雀、高円、山辺の7校。
このうち、廃校になる平城、登美ケ丘、西の京は全て普通科。
国際高校は国際科、県立大附属は地域創生となるが内容は未決定です。
2年後、奈良市の県立高校普通科は奈良高校のみになる予定である。
話を聞く限り、受験生の悩みは大学進学実績のある普通科に進学したいのに、多くが廃校になることだと考える。
例えば、国際高校は一握りの志望者のためになる。知られていないが米国大学進学は、日本の大学と比して数倍の学費になる。それを目指すらしく、万人向けではない。
開示請求資料から
奈良県教委は、県議会にも教育委員にも隠した事実が2つある。
- 平成29年の高校志望者への調査結果から、普通科の志望者が71.9%もある。また、特色化すべきは定員割れの普通科と結論づけている。
- 学校の活力とクラス数に相関が無い調査結果がある。
受験生の希望と実態が乖離する感覚は調査結果から明確に説明できる。普通科の志望者は71.9%だが、
奈良市で県立高校の普通科の募集生徒数は、2年後には34%にまで減少する。
これは奈良市にのみ起こる不利益であり、1つの市に1つの普通科、とした人口分布を無視した再編計画の影響である。
中学生の多くが普通科に行きたいと考えているにも関わらず、国際、音楽、地域創生、商業、から県立高校を選べ、嫌なら奈良高校か、市外の高校、私学、という選択肢になる。
他の市と比べ、明らかに選択肢や定員が激減していく。明らかに奈良市民は不利益を受ける事になる。
企業からみれば、普通科は魅力的である。幅広い知識を高校で身につけ、大学・大学院で専門性を身につけることになるからだ。
理研の松本理事長の言葉を借りると『革新は専門家では起こす事はできない。総合文化人しか革新は起こせない』その通りと思う。普通科は重要だ。
次に、高校選択理由の重要な印象である大学進学実績の視点を入れる。
奈良市の県立高校の進学実績(国公立)は、奈良高校が75%、平城高校が21%、その他4%である。
奈良市の県立高校の進学実績(四年生私学)は、奈良高校が25%、平城高校が47%、登美ケ丘高校が16%、西の京高校が7%、その他5%である。
奈良市の県立高校の進学実績(関関同立)は、奈良高校が55%、平城高校が38%、登美ケ丘高校が5%、西の京高校が2%である。
関西の雄である関関同立は、グローバル化、科学技術の発展に貢献する学生を多く輩出しており、この大学への進学実績は高校の評価指標とできる。
高校再編により、平城高校で言えば国公立80名、関関同立321名、四年生大学1297名の大学進学の機会、教育システムを一気に失う。奈良県、並びに、生徒の半数を占める奈良市民にとって大きな不利益となる。
驚く事に、奈良県教委は、これら価値を無評価で、廃校を決めている。
繰り返しになるが、平城高は奈良高と共に奈良市の大学進学を牽引してきた。その約半数を無評価で無くす。問題だと思う。
因みに、平城360名、登美ケ丘240名が廃校、国際高校184名が新設されるが
募集定員は、令和2年から416名も削減される。
これは、奈良市の県立高校1学年当たりで22%の削減、普通科に絞ると32%もの削減という事である。
(奈良市内の県立高校7校の令和元年5月1日時点の1学年あたりの平均生徒数は、1,876人です。普通科高校に絞ると1学年あたり1,288人です。)
進学実績を国際高校で引き継ぐことは、質、量ともに無理と分かる。
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